コラム0282:『E.T.』


当文章には掲題作品のネタバレを含みますのでご了承ください


■38年前に鑑賞未遂

1982年、映画『E.T.』が大ヒットして世間で話題に。
観たがっていた当時7歳の僕を、父が映画館へ観に連れていってくれる事になりました。

ところが、映画館に入ってすぐ、序盤の辺りで僕が体調を崩し、映画館を出て帰る事に。
体調っていうか、白状するとE.T.の姿が気持ち悪すぎて吐いたんですが。
グロ耐性ゼロの7歳児だったので……(汗)
せっかく連れて行ってくれた父には悪いことをしました。

僕にとってそんな思い出のある『E.T.』が先日金曜ロードショーで放映されたのを録画し、本日、じつに38年越しでやっと『E.T.』を鑑賞する事ができました。


■分かっていた事と新鮮だった事

そうは言っても超有名な名作です。
名シーンだけなら度々目にする機会があったし、話のおおまかな流れもだいたい分かっていました。
それでも序盤の地球に取り残されたE.T.がエリオット少年と出会う流れ、見せ方がうまくてやはりワクワクします。

で、『E.T.』といえば自転車で飛ぶシーンばかり取り沙汰されるイメージがありますが、全然知らなかった中盤がとても新鮮!
話の時期設定がハロウィンシーズンで、E.T.に仮装のフリで布かぶせて白昼堂々連れ出すって、なんと面白いくだり!
しかもヨーダの仮装を見たE.T.が仲間と勘違いして反応するとか、すごい面白いんですけど!(笑)

なおE.T.を連れ出した目的は、山の森でE.T.と宇宙船を交信させるため。
自転車にE.T.を乗せて夜の森を走っていたら自転車が宙に浮き、月をバックに自転車が飛ぶあの名シーン。

AMBLIN!!!

ああ、この流れ。
感動しますね。
やっぱりこの場面だけを切り取るだけじゃ分からない、流れあってこその感動シーンです。


■E.T.があんな姿をしている理由

それにしても、鑑賞中気になっていたのは
「宇宙船でやってくるような科学力を持つ知的生命体なのに、なぜ全裸なんだ」
ということ。
鑑賞を終えたあと岡田斗司夫氏による解説を聞いたら、興味深い裏話を聞くことができました。
スピルバーグ監督の指示により、E.T.はわざと醜いデザインにされたとのこと。
それも「親からしか愛されないような醜い姿」という発注だったそうです。

なぜならE.T.は、母子家庭育ちでやせっぽちでコミュニケーションが苦手だというスピルバーグ監督自身の劣等感が投影されているから。

なるほど。
7歳の僕が嘔吐するほど気持ち悪い肌を全裸で見せびらかすE.T.は、醜くなければならないキャラクターだったのですね。


親からしか愛されない醜い姿の地球外生命体が、しだいに子どもたちから受け入れられ心の交流をかわす物語、『E.T.』。
38年かかってしまいましたが、僕もE.T.を好きになれて良かったです。


(新規 2020.10.26)