コラム0007:アンパンマンの怪

アンパンマンについて昔から気になっていること。
■我らがヒーロー アンパンマンさん
このお話の主人公は喋るアンパン。
ただパンに描いただけの顔がものを喋ります。
身体も持っていて自由に歩いたり飛んだりしてます。
そして自分は正義の味方だという使命感のもと子供を助けに行く。
帰って来たと思ったら「おなかをすかせてる子供にあげた」とか言って、頭が半分くらい欠けた状態で平然と立っている。
これは生き物なのでしょうか?
ゾンビでもここまでタフな奴はそうそういません。
言動からは知性のある生き物のように見えますが、頭を胴体からもぎ取っても一滴の血も流さず平然と生きているあたり、アラレちゃんや攻殻機動隊に出てくるアンドロイドのようでもあります。
人格が頭でなく胴体に宿っているあたり、構造としてはガンダムに近いのかもしれませんが……。
助けられた子供も子供。
今まさに人格を持って言葉を発している人面パンに食らいつく事ができるとは並大抵の神経じゃありません。
親はどういう教育をしているのでしょう。知らない人からものをもらうのは良くないけど、知らない人の頭を食うのはOKなんでしょうか?
■アンパンマンのメンテナンス体制
こんな異様な状況をサラリと受け容れているジャムおじさん。
アンパンマンの頭が欠けて戦闘不能になったのを見て
「じゃあ代わりのパンを焼いて取り替えればいい」
という、ブラックジャックもびっくりのマッドサイエンティスト発想。
古い頭部を身体から取り外して新しいアンパンをのっけると、さっきまでまさにただのアンパンだったそれが「にやり」と笑って再び戦闘可能な態勢となります。
それはいいのですが、さっきまでアンパンマンの頭部であった古い方の人面パンはどうするのでしょう。
捨てるのでしょうか?
自分の頭が生ゴミに出されているのを見たアンパンマンは何を思うのでしょう。
さもなくば、もったいないからみんなで食べるんでしょうか。
生きたままの頭部でさえ人に食わせる男ですから、みんながよってたかって自分の古い頭をむさぼり食っていても気にはしないでしょうが……。
でもその古いアンパン、製造日はいつ? 夏場の賞味期限は短いぞ。
その甘いあんこだって、ついさっきまでアンパンマンの脳として機能していた臓器なんですけど。

■アンパンマン世界の恋愛事情
ところで、バタコさんとおむすびまんは両想いだそうです。
おむすびの化け物に恋する気持ちも、トーテムポールみたいな髪型のイモねーちゃんに恋する気持ちも、我々には理解し難いものがあります。
恋と言えば、ドキンちゃんはしょくぱんまんに片想いをしているのが有名ですね。
これも食パンの化け物に恋する気持ちがわからんと言いたいところですが、恋のなれそめが意外と説得力のあるものだそうで。
ばいきんまんが食パンを強奪するために、ドキンちゃんを道の真ん中に寝かせてしょくぱんまんのトラックを止めるという作戦を決行。
その際にしょくぱんまんがドキンちゃんのもとへ駆け寄り大丈夫かと声をかけたことから、ドキンちゃんはしょくぱんまんの優しさと風格に惚れたのだそうです。
確かに、いつも一緒にいるドクズなバイキンのお化けに比べたら、紳士なしょくぱんのお化けの方が何倍もいいでしょう。
奇怪なキャラクターたちによる、愛と勇気と意外に深いドラマの込められたお話。
大人になってから観るアンパンマンも意外な楽しみがあります。
(新規 1998.01.01)
(更新 2017.03.02)